セキュリティインシデントとは?4つの分類・初動対応・段階別の対策を解説|ハチマルヤ合同会社(808)
セキュリティインシデントとは、情報の機密性・完全性・可用性が脅かされる出来事すべてを指します。ハッカー攻撃だけでなくヒューマンエラーも含まれる4分類・やってはいけない初動対応・段階別の具体的対策を解説します。
「うちは怪しいサイトは見ていないし、ウイルス対策ソフトも入れているから大丈夫」——そう思っている経営者や担当者は、実は最も危ない状況にある可能性があります。
「セキュリティインシデント」という言葉を聞くと、「ハッカーに攻撃されること」だと思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、その認識のままでは対策に大きな抜け穴が生まれます。
実際には、セキュリティインシデントはもっと身近で多様なものです。「大事な書類を居酒屋に忘れる」ことすら、立派なインシデントです。
この記事では、セキュリティインシデントの正確な定義・4つの分類・事故発生時にやってはいけない行動・段階別の対策を、ハチマルヤ合同会社(808)が解説します。
セキュリティインシデントとは何か
一言でいうと、「情報の安全が破られた、あるいは破られそうになった状態」のことです。
セキュリティの世界では「情報のCIA」という概念があります。以下の3つの要素のいずれかが損なわれた場合、それはセキュリティインシデントです。
| 要素 | 内容 | インシデントの例 |
|---|---|---|
| 機密性 | 漏えいしないこと | 顧客名簿が外部に流出した |
| 完全性 | 改ざんされないこと | 自社Webサイトの内容が書き換えられた |
| 可用性 | 使える状態であること | システムが停止して業務ができない |
重要なのは、サイバー攻撃だけでなく、ヒューマンエラーや災害も含まれる「広い概念」である点です。
セキュリティインシデントの4つの分類
セキュリティインシデントは、発生原因の観点から大きく4つに分類できます。

1. 外部攻撃型
不正アクセス・ランサムウェア感染・フィッシング詐欺・DDoS攻撃など、外部からの悪意ある行為によるもの。最もイメージしやすい分類です。
2. 内部不正型
退職者による機密データの持ち出し、権限を悪用した従業員の不正行為など。信頼していた内部の人物が原因となるケースです。発覚が遅れやすく、被害が深刻になりやすい特徴があります。
3. ヒューマンエラー型
メールの誤送信、USBメモリの紛失、書類の置き忘れなど、悪意のないミスが原因のもの。発生頻度が高く、どの企業でも起こりうるインシデントです。
4. 委託先起因型
自社のセキュリティを固めても、繋がっている取引先・委託先のセキュリティが不十分であれば、そこから情報が漏れるケースです。これを「サプライチェーン攻撃」と呼びます。「うちは大丈夫」だけでは通用しない、現代のサイバー攻撃の特徴的なパターンです。
被害の深刻さ——「たった一通のメール」から数千万円の損失へ
2025年上半期、ランサムウェアによる国内被害報告は116件に達しています。[※1]
実際の被害事例では、たった一通のフィッシングメールから社内ネットワークが全滅し、全データが暗号化されるケースも起きています。復旧までの数日間は売上ゼロとなり、取引先からの信頼も失います。
IBMの調査によると、情報漏洩の平均コストは世界で数億円規模。中小企業でも、数日間の業務停止で数百万〜数千万円の損失が出ることは珍しくありません。[※2]
事故が起きたとき、絶対にやってはいけないこと

インシデントが発生した際、パニックになった担当者がやりがちな行動があります。しかし、これが被害を深刻化させます。
「慌てて電源を切る」「勝手に再起動する」——これは禁止です。
調査に必要なログ(記録)が消えてしまい、原因特定と再発防止が不可能になります。
正しい初動対応の3ステップ
ステップ1:LANケーブルを抜く(Wi-Fiを切る) 他のPCへの感染拡大を最優先で防ぎます。電源は切りません。
ステップ2:その状態のまま維持する 専門家が調査できるように、証拠を保全します。勝手に操作しないことが重要です。
ステップ3:速やかに報告する 「怒られるから内緒にしておこう」という判断が、会社を最大の危機に追い込みます。インシデントを隠すことは絶対に避けなければなりません。
経営層・管理職へのお願い:ミスを責めるのではなく「すぐに報告してくれてありがとう」と評価する文化を作ることが、どんな高価なシステムを導入するよりも効果的な「究極のセキュリティ対策」となります。
3段階の対策——自社のレベルに合わせた対応
完璧なセキュリティは存在しません。だからこそ、現状のレベルに応じて対策を積み上げることが重要です。
Lv.1【基本】まずはここから
- OSやアプリを常に最新の状態に保つ
- パスワードの使い回しをやめる
- 不審なメールは絶対に開かない
- 全社員でルールを共有し、定期的なセキュリティ教育を実施する
Lv.2【推奨】特に重要な対策
- 多要素認証(MFA)の導入:パスワードに加えてもう一段階の認証を設けることで、不正アクセスリスクを大幅に低減できます。
- バックアップの徹底:ランサムウェア感染時にデータを自力復旧できる「最後の砦」となります。バックアップは必ずオフラインまたはイミュータブルな場所に保存します。
Lv.3【プロと一緒に守る】
- EDR(Endpoint Detection and Response)の導入:侵入を前提として、素早く検知・封じ込める。
- CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の構築:インシデント発生時の社内司令塔を事前に定める。
- 脆弱性診断・ペネトレーションテスト:攻撃者の視点で自社の弱点を客観的に発見する。
- SOC(セキュリティ監視センター)の活用:24時間365日、専門家の目でシステムを監視する。
まとめ
- セキュリティインシデントとは、情報の機密性・完全性・可用性が脅かされる状態の総称。ハッカー攻撃のみならず、ミスや内部不正・委託先経由も含まれる。
- 4分類:外部攻撃型・内部不正型・ヒューマンエラー型・委託先起因型(サプライチェーン攻撃)。
- 初動対応の鉄則:慌てて電源を切らず、LANを切り離し、証拠を保全し、速やかに報告する。
- 対策は3段階:まず基本(OS更新・パスワード管理・教育)から始め、MFA・バックアップ、そして専門家によるプロ対策へ段階的に積み上げる。
- セキュリティ対策は「コスト」ではなく「事業継続への投資」。正しく怖がり、賢く守ることが重要。
ハチマルヤ合同会社(808)では、インシデント対応体制の構築から脆弱性診断・セキュリティ教育の実施支援まで、専門チームがサポートしています。「自社の対策に穴がないか不安」という段階からご相談を受け付けています。まずはお気軽ご相談ください。
参考資料・出典
※1 警察庁「令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2025年)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R7kami/R07_kami_cyber_jyosei.pdf
※2 IBM Security「Cost of a Data Breach Report 2024」
https://www.ibm.com/security/data-breach
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