SCS評価制度の全25項目と攻略ロードマップ——ISO27001との違いも解説|ハチマルヤ合同会社(808)
SCS評価制度の審査対象となる全25項目(組織・ルール10項目/技術・運用12項目/緊急時3項目)を完全解説。ISO27001との評価アプローチの違いとレベル別の攻略ロードマップを、ハチマルヤ合同会社(808)が解説します。
前編では、SCS評価制度の概要・★3〜★5の3段階・セルフチェックの方法を解説しました。この後編では、審査の対象となる全25項目の内容と、各レベルを効率よく取得するためのロードマップを詳しく解説します。
また、「ISMSとどう違うのか」という疑問も多くいただくため、両制度の評価アプローチの本質的な違いについても整理します。
SCS評価制度とISMS(ISO27001)の決定的な違い
取り組み方を間違えないために、まず両制度の根本的な違いを理解しておく必要があります。
ISMSの評価アプローチ:リスクベース
ISO27001(ISMS)は、「リスクベース」の考え方を採用しています。
企業が自社のリスクを特定・評価し、そのリスクに応じた対策を選択・実施する——という「プロセスの仕組みが整っているか」を評価します。形式よりも「なぜその対策を選んだか」という判断の合理性が問われます。
SCS評価制度の評価アプローチ:ベースライン型
SCS評価制度は、「ベースライン型」の考え方を採用しています。
「これだけは最低限やっていなければならない」という基準項目(ベースライン)への適合状況を評価します。自社のリスク判断よりも、「定められた項目をすべて実施しているか」が重視されます。
| ISMS(ISO27001) | SCS評価制度 | |
|---|---|---|
| 評価アプローチ | リスクベース | ベースライン型 |
| 重視される点 | 自社のリスク分析プロセス | 規定項目への適合状況 |
| 柔軟性 | 高い(自社リスクに応じた対策選択) | 低い(定められた項目を全実施) |
| 取得難易度 | 高い(仕組み構築と継続改善が必要) | 相対的に明快(チェックリスト形式) |
実務上の含意:SCS評価制度は「何をすれば取得できるか」が明確なため、対策の優先順位を立てやすい一方、全項目への対応が必須となります。ISMSのような「リスクが低いから対策を省略する」という判断は原則として通用しません。
SCS評価制度の全25項目
SCS評価の審査対象は、大きく3つのカテゴリに分類された全25項目です(2026年1月時点)。
カテゴリA:組織・ルール(10項目)
企業のセキュリティ管理体制と規程・手順書の整備状況を評価する項目群です。
| # | 項目 | 概要 |
|---|---|---|
| A-1 | 情報セキュリティポリシーの制定 | 基本方針を文書化し、経営層が承認している |
| A-2 | セキュリティ担当者の任命 | 責任者と担当者が明確に定められている |
| A-3 | セキュリティ教育・訓練 | 全従業員への定期的なセキュリティ教育の実施 |
| A-4 | 情報資産管理 | 取り扱う情報資産(データ・システム)の一覧化と分類 |
| A-5 | アクセス権限管理 | 必要最小限の権限付与・定期的な権限見直し |
| A-6 | 委託先管理 | 取引先・委託先のセキュリティ要件の確認と管理 |
| A-7 | リスクアセスメント | セキュリティリスクの定期的な特定・評価 |
| A-8 | 変更管理 | システム変更時のセキュリティ影響確認手順 |
| A-9 | セキュリティ方針の見直し | 制度や環境変化に応じたポリシーの定期見直し |
| A-10 | 経営層への報告 | セキュリティ状況を定期的に経営層へ報告する仕組み |
カテゴリB:技術・運用(12項目)
実際の技術的な対策が導入・運用されているかを評価する項目群です。
| # | 項目 | 概要 |
|---|---|---|
| B-1 | 脆弱性管理 | OS・ソフトウェアの更新・パッチ適用の管理 |
| B-2 | マルウェア対策 | ウイルス対策ソフト・EDRの導入と運用 |
| B-3 | 認証管理 | 多要素認証(MFA)の導入・パスワードポリシーの整備 |
| B-4 | ネットワーク管理 | ファイアウォール・VPN・ネットワーク監視の運用 |
| B-5 | ログ管理・監視 | アクセスログの取得・保管・定期的な確認 |
| B-6 | バックアップ管理 | 重要データの定期バックアップと復元テストの実施 |
| B-7 | 暗号化 | 重要データの保存・送信時の暗号化 |
| B-8 | セキュアな開発・設定 | システム構築・設定時のセキュリティ要件の組み込み |
| B-9 | 物理セキュリティ | サーバールームや端末の物理的な保護措置 |
| B-10 | 持出し・廃棄管理 | データの持ち出しルールと機器廃棄時のデータ消去 |
| B-11 | ネットワーク分離 | 重要システムと一般業務環境のネットワーク分離(IT/OT分離を含む) |
| B-12 | 脆弱性診断 | 定期的なペネトレーションテストまたは脆弱性スキャンの実施 |
カテゴリC:緊急時対応(3項目)
インシデント発生時の対応体制を評価する項目群です。
| # | 項目 | 概要 |
|---|---|---|
| C-1 | インシデント対応計画 | 発生時の初動対応・報告フローが文書化されている |
| C-2 | インシデント対応訓練 | 机上訓練または実地訓練を定期的に実施している |
| C-3 | 事業継続計画(BCP)との連携 | セキュリティインシデントがBCPと連動している |

レベル別の攻略ロードマップ
★3(ベーシック)取得のロードマップ
★3は主にカテゴリA・Bの基本項目への対応が中心です。技術的な導入より「ポリシーの文書化」と「運用の仕組み化」がカギになります。
第1フェーズ(1〜2ヶ月):現状把握とギャップ分析
- 25項目に対する現状の対応状況を一覧化
- 「未実施」「一部実施」「完全実施」に分類
- 重大な不足対策を優先リスト化
第2フェーズ(2〜5ヶ月):対策の実施と文書整備
- 優先度の高い技術対策から着手(MFA、OS更新管理、バックアップ)
- ポリシー・手順書の作成(IPAのひな型を活用)
- 教育・訓練の実施(最低1回)
第3フェーズ(5〜8ヶ月):審査申請と対応
- 証跡(ログ・実施記録)の整備
- 審査機関への申請
- 審査対応・指摘事項の修正
★4(スタンダード)取得のロードマップ
★4は★3の全要件に加え、「委託先管理」「リスクアセスメント」「EDR導入」「脆弱性診断」などの高度な対策が求められます。
★3取得後から追加で半年〜1年程度の取り組みが必要です。また★4以上では、外部の専門家による支援(セキュリティコンサルティング・脆弱性診断等)を活用することが現実的です。
優先順位の考え方
25項目すべてに同時に取り組もうとすると、リソースが分散して一向に進みません。以下の優先順位を参考にしてください。

最優先(時間もコストも少ない)
- A-2(担当者任命)、A-3(教育実施):宣言するだけで対応可能
- B-3(MFA導入):多くのサービスが無料で設定可能
- B-1(OS更新):設定変更で即対応
次に優先(文書化が必要)
- A-1(ポリシー制定):IPAひな型を活用
- C-1(インシデント対応計画):フロー図作成から開始
- B-6(バックアップ):現状確認と定期テスト導入
計画的に取り組む(ツール導入・体制整備)
- B-2(EDR導入)、B-5(ログ管理)、B-12(脆弱性診断):予算確保から
- A-6(委託先管理)、B-11(ネットワーク分離):外部支援も活用
まとめ
- SCS評価制度の評価アプローチは「ベースライン型」。定められた25項目すべてへの対応が必要。
- ISMSはリスクベースで柔軟性があるが、SCS評価は規定項目への適合が前提となる。
- 全25項目:組織・ルール10項目/技術・運用12項目/緊急時対応3項目。
- ★3取得の目安期間は6〜8ヶ月。2026年を目標とするなら、今すぐ着手が必要。
- 優先順位は「担当者任命→MFA導入→OS更新→ポリシー文書化→インシデント対応計画」の順。
- ★4以上は外部専門家の支援を活用することが現実的。
ハチマルヤ合同会社(808)では、SCS評価制度への対応を専門チームがサポートしています。25項目のギャップ分析から対策の実施支援・審査対応まで、「何から始めればいいかわからない」という段階からご相談を受け付けています。まずはお気軽にご相談ください。
参考資料・出典
※1 経済産業省「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0」(2023年)
https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/mng_guide.html
※2 IPA(情報処理推進機構)「情報セキュリティ10大脅威 2025」(2025年)
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2025.html
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