SCS評価制度とお助け隊サービス(新類型)とは?|参加条件と選び方|ハチマルヤ合同会社(808)
「SCS評価制度に対応したいけれど、専門の人材も予算もない」
中小企業の担当者の方から、こうした悩みを聞く機会が増えています。2026年9月15日、経済産業省とIPA(情報処理推進機構)は、新しい支援策の実証事業の開始を発表しました。中小企業のSCS評価制度への対応を支援する「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」です。[※1]
この記事では、新類型の中身とSCS評価制度との関係、参加できる会社の条件、15の事業者の違いを、ハチマルヤ合同会社(808)が公表資料をもとに整理します。情報はすべて本記事の執筆時点(2026年10月14日)のものです。
SCS評価制度そのものの全体像を先に知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→ SCS評価制度とは?2027年から始まる新制度の全体像と対象企業
サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)とは
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、国が認定した民間事業者のサービスです。中小企業向けに、基本的なセキュリティ対策をまとめて安く提供する仕組みとして、2021年度からIPAが運用しています。[※2][※3]
新類型は、このお助け隊サービスに新しく加わる種類です。既存のサービスとの違いは、次のとおりです。[※2][※4]
| 項目 | 既存のお助け隊サービス | 新類型 |
|---|---|---|
| 目的 | セキュリティ対策に不安のある中小企業に、最低限必要な対策を安く提供する | SCS評価制度の★3・★4の取得を目指す中小企業を支援する |
| 主な内容 | 24時間の異常監視、緊急時の駆け付け支援、相談窓口、簡易的なサイバー保険 | 対策状況の診断、ITツールの導入、規程の整備や教育などの支援、★取得の申請支援 |
| 状況 | 運用中(累計導入企業数 約10,900社、2026年3月末時点。出典:IPA 2026年度) | 制度の創設に向けた実証事業中 |
既存のサービスが「最低限の対策を安く」なのに対して、新類型は「★の取得まで伴走する」ことを目的にしている点が大きな違いです。
新類型が作られた背景
経済産業省は、新類型をつくる理由として、中小企業から「何から対策を始めればよいか分からない」「専門人材や予算が不足している」という声が多いことを挙げています。[※1] こうした課題が、SCS評価制度を広めるうえでの壁になっているという認識です。
また、IPAが令和6年度に行った中小企業の実態調査では、サイバー攻撃の被害に遭った中小企業の約7割が「取引先にまで影響が及んだ」と回答しています。(出典:IPA 令和6年度 中小企業実態調査。経済産業省のウェブサイトでの紹介による)[※2] 中小企業の対策の遅れが、取引先を含むサプライチェーン全体のリスクになるため、国が★の取得を後押しする形です。
SCS評価制度との関係|足りない要求事項を埋める支援
経済産業省は、新類型を「★3・★4の要件項目のうち未達成の項目について、新類型の導入により要件項目を達成させるもの」と説明しています。[※2] つまり、自社で満たせていない要求事項を、事業者の支援で埋めていく仕組みです。
支援は、次の3つのステップで進みます。[※3]
- 課題の可視化:SCS評価制度の要件項目ごとに対策状況を診断し、足りない項目への対策を改善計画書にまとめる
- 対策の実施:★3・★4の取得に推奨されるITツールの導入と、セキュリティポリシーやインシデント対応手順の整備、教育などの支援
- ★取得の申請支援:要求事項を満たしているかを確認し、セキュリティ専門家による確認・評価や、申請書の作成を支援する

3つめのステップに「セキュリティ専門家による確認・評価」が含まれている点は、見逃せないポイントです。★3の登録には、★3確認責任者(制度に登録したセキュリティ専門家)の確認が必要です。専門家の確保は、★3取得の大きなボトルネックになりやすい部分です。
→ SCS評価制度★3の取得最短ルート|ボトルネックは専門家確保
新類型と並行して進められている支援策
IPAの説明資料では、中小企業の★取得を後押しする施策として、新類型のほかに次の3つが挙げられています。[※4]
- 中小企業向けのガイドラインの整備:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインと、付録のサンプル規程を整える
- 取引先への要請についての考え方の整理:取引先に★の取得を求める際の費用について、円満な価格交渉を進めるための事例や解説を示す
- 中小企業向けサイバーセキュリティ専門家リストの整備:中小企業と専門家のマッチングを進める
専門家リストは、★3確認責任者の確保に悩む中小企業にとって、注目しておきたい施策です。公開時期などは、本記事の執筆時点では示されていません。
経済産業省は2026年10月6日に、中小企業がSCS評価制度に取り組んだモデルケース(専任者がいない会社、経営層を巻き込んだ会社の2例)も公開しています。[※2] 自社で進められるかを考える材料になります。
★3で満たすべき26件の要求事項の中身は、以下の記事で解説しています。
→ SCS評価制度★3の要求事項26件を全解説|優先順位と進め方
実証事業の中身|無料で受けられる範囲と期間
実証事業では、IPAが認定した15の事業者が、参加する中小企業に★3・★4取得のためのサービスを試しに提供します。[※1] その結果をもとに、新類型の品質や価格の基準が検討されます。
参加する中小企業にとってのポイントは、次の3つです。
- 費用は無料:SCS評価制度の対策の範囲で、実証期間中(最大で1年程度)に限ります。[※1] IPAは「実証事業者から実証参加に関する費用を請求することはありません」としています。[※3]
- 期間は2026年10月〜2027年9月の予定:サービスの内容や期間は事業者ごとに異なります。実証期間のあとは、有償でのサービス継続を検討するよう案内があります。[※3]
- 協力が求められる:制度づくりに向けた意見の提出や、セキュリティ対策に関する情報の提供に協力します。情報には、不審な通信を検知した際の関連情報が含まれます。[※3]
なお、IPAに支払う★の登録料(★3は1万円で1年分、2028年3月31日までの申請)[※6]が無料の範囲に含まれるかは、公表資料に記載がありません。申し込みの際に事業者に確認しておきましょう。
無料で★取得の支援を受けられる一方で、実証は「制度をつくるための検証」でもあります。参加する企業は、その検証に協力する立場になることを理解しておきましょう。
参加できるのはどんな会社か
参加できるのは、サプライチェーンを構成する中小企業等です。[※1] 本実証事業での「中小企業等」は、業種ごとに次のように定められています(主な業種を抜粋)。[※5]
| 業種 | 資本金・出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ソフトウェア業、情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| その他の業種(上記以外) | 3億円以下 | 300人以下 |
資本金と従業員数は、どちらか一方を満たせば対象になります。個人事業主も含まれます。
ほかにも、知っておきたい点が3つあります。[※5]
- 医療法人・社会福祉法人・学校法人は、常時使用する従業員が300人以下であれば対象
- 大企業の子会社など、いわゆる「みなし大企業」も、資本金か従業員数の基準を満たせば対象
- 法人格のない任意団体は対象外
15事業者の違い|★4まで支援するのは2社
実証に参加するには、15の事業者の中から1社を選び、その事業者に直接申し込みます。[※3] 15社は、支援する★の範囲が次のように分かれています。[※3]
| ★の支援範囲 | 事業者 |
|---|---|
| ★3・★4とも支援(2社) | 株式会社オプティム、株式会社NTT Risk Manager |
| ★3が中心で、一部の企業は★4も支援(8社) | 株式会社NTTデータ、三井物産セキュアディレクション株式会社、株式会社アクシス、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社、ちばぎんコンピューターサービス株式会社、株式会社イシマル、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社、株式会社フォーバル |
| ★3のみ(5社) | 大阪商工会議所、NTTドコモビジネス株式会社、株式会社セキュアイノベーション、SOMPOリスクマネジメント株式会社、リコージャパン株式会社 |

また、IPAは2026年10月13日に、事業者ごとの募集状況を公表しました。[※3] 本記事の執筆時点(2026年10月14日)で、募集状況に注意が必要な事業者は次のとおりです。それ以外の事業者は「現在募集中」とされています。
| 事業者 | 募集状況(2026年10月13日のIPA更新時点) |
|---|---|
| 株式会社NTT Risk Manager | キャンセル待ち |
| 富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社 | 募集終了 |
| NTTドコモビジネス株式会社 | 募集終了 |
| 株式会社イシマル | 第1クール締切済み。次回募集予定は未定 |
| 株式会社アクシス | 第1クールは2026年10月中旬まで。次回募集は2026年11月上旬予定 |
| リコージャパン株式会社 | 募集準備中。10月中旬に募集開始予定 |
★3・★4の両方を支援する2社のうち、執筆時点ですぐに申し込めるのは株式会社オプティムです。募集状況は日々変わるため、申し込む前にIPAのページで最新の状況を確認しましょう。
対象のエリアや業種も、事業者ごとに異なります。全国を対象にする事業者がある一方で、千葉県、関西地域、長崎県を中心とした九州北部などに地域を絞っている事業者もあります。SOMPOリスクマネジメントは自動車業界を対象にしています。[※3]
事業者を選ぶときは、次の順で確認すると絞り込みやすくなります。
- 目指す★:取引先から★4を求められる可能性があるなら、★4を支援する事業者から選ぶ
- 対象エリア:自社の所在地が対象に入っているか
- 対象業種:自社の業種が重点の対象に入っているか
なお、IPAはエリアや業種の記載を「実証実施の目安」としています。[※3] 最終的には、各事業者に直接確認しましょう。問い合わせの際は、自社の業種、所在地、目指す★の3点を伝えると、参加できるかどうかの確認が早く進みます。
参加前に確認しておきたいこと
申し込めるのは1社だけ、予定数に達すると参加できない
複数の事業者に重ねて参加することはできません。[※3] また、事業者の実証予定数に達している場合や、参加条件が合わない場合は、参加できないことがあります。IPAによると、実証にはすでに多くの申し込みがあり、今後追加募集を行う事業者もあるとされています。[※3]
実証のあとは有償になる
無料なのは、実証期間中かつSCS評価制度の対策の範囲に限られます。実証が終わったあとは、有償でのサービス継続を案内されます。[※3] 新類型の正式な価格は、本記事の執筆時点では公表されていません。継続した場合の費用を、申し込みの前に事業者に確認しておくと安心です。
検知した情報の提供に協力する
実証では、不審な通信を検知した際の関連情報などの提供に協力します。IPAの説明資料では、提供する情報には「シグネチャや通信情報などを含む場合があります」とされています。[※4] 社内の情報管理のルールに照らして問題がないか、情報システムの担当者や経営層と確認しておきましょう。
制度の開始時期は2段階で考える
経済産業省は、2026年度末頃のSCS評価制度の開始に合わせて、新類型の基準案を公表し、先行版としてサービスを始める予定としています。[※2] 一方、IPAは新類型の正式な制度化を2027年度末までに目指すとしています。[※3] IPAは2027年度以降の試行運用に向けた検討を進めており、実証に参加できなかった場合でも、将来的に利用できる可能性があるとしています。[※3]
★3・★4の受付は2027年3月以降の予定で、専門家の登録受付は2027年1月以降の予定です。[※6] 実証に参加しても、受付が始まった時点ですぐに★を取得できるとは限りません。取得までの日程の考え方は、以下の記事で解説しています。
→ SCS評価制度の基本規程とは?★3・★4の登録・更新の流れ
新類型を使わずに、自社と外部の専門家で進める方法もあります。支援会社の選び方は、以下の記事で整理しています。
→ SCS評価制度のコンサルの選び方|失敗しない3タイプの見極め方
まとめ
- お助け隊サービス(新類型)は、SCS評価制度の★3・★4の取得を目指す中小企業を、診断から対策の実施、申請支援まで伴走して支援するサービス
- 実証事業では、SCS評価制度の対策の範囲で、最大で1年程度(2026年10月〜2027年9月の予定)の支援を無料で受けられる。期間や内容は事業者ごとに異なる
- 参加できるのは業種別の規模基準を満たす中小企業等。みなし大企業も対象
- 15事業者のうち★4まで支援するのは2社。募集終了やキャンセル待ちの事業者もあり、エリアや業種も事業者ごとに異なる
- 申し込めるのは1社だけ。実証後は有償になり、検知情報の提供への協力も求められる
よくある質問(FAQ)
Q1:実証に参加すれば、必ず★3を取得できますか?
必ず取得できるとは限りません。実証は、新類型のサービスで★を取得できるかを検証する段階です。また、★3・★4の受付は2027年3月以降の予定で、実証期間(2026年10月〜2027年9月)の中で取得まで進むかは、自社の対策状況によって変わります。事業者と一緒に、取得までの見通しを確認しておきましょう。
Q2:複数の事業者に申し込むことはできますか?
できません。IPAは、複数の実証事業者への重複参加はできないとしています。目指す★、対象エリア、業種の3点で事業者を絞り込み、1社を選んで申し込みましょう。予定数に達している場合は参加できないこともあるため、気になる事業者には早めに問い合わせるのがおすすめです。
Q3:実証が終わったあとの費用はいくらですか?
本記事の執筆時点で、新類型の正式な価格は公表されていません。実証は価格の基準を検討するための事業でもあります。実証後は有償での継続を案内されるため、申し込みの前に、継続した場合の費用の目安を事業者に確認しておくと安心です。
新類型を使うかどうかの判断や、自社の状況に合った進め方からご相談いただけます。
ハチマルヤ合同会社(808)では、SCS評価制度への対応を専門チームがサポートしています。 「何から始めればいいかわからない」という段階からご相談を受け付けています。 まずはお気軽に無料相談をご利用ください。 → 無料相談はこちら
参考資料・出典
※1 経済産業省「中小企業向け『サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)』実証事業を開始します」(2026年9月15日) https://www.meti.go.jp/press/2026/09/20260915001.html
※2 経済産業省「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」(2026-10-14確認) https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/otasuketai_jissho.html
※3 IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)実証事業」(2026-10-14確認) https://www.ipa.go.jp/security/sme/otasuke-scs.html
※4 IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)実証 説明資料」(2026年9月15日) https://www.ipa.go.jp/security/sme/rqr7mi000000286e-att/setsumei_shiryo.pdf
※5 IPA「本実証事業における中小企業等の定義」 https://www.ipa.go.jp/security/sme/rqr7mi000000286e-att/chusho_teigi.pdf
※6 IPA「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度 料金設定のお知らせ」(2026年9月18日) https://www.ipa.go.jp/security/scs/rcu1hd00000075om-att/pricelist.pdf
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