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「SCSを取らないと取引停止」は本当?国の注意喚起と確認ポイント|ハチマルヤ合同会社(808)

「SCSを取らないと取引停止」は本当?国の注意喚起と確認ポイント|ハチマルヤ合同会社(808)

「SCS評価制度を取っておかないと、取引が続けられなくなりますよ」

たとえばこのような営業の電話やメールを受けて、不安になった方もいるのではないでしょうか。SCS評価制度は新しい制度のため、正しい情報がまだ十分に知られていません。2026年4月27日には、制度を引き合いにした不適切な勧誘が報告されているとして、国が注意を呼びかけています。[※1]

先に結論をお伝えすると、SCS評価制度そのものが、★を持たない会社の取引を止めたり規制したりすることはありません。ただし、取引先が契約の条件として★を求めることはありえます。大切なのは、営業担当者の言葉ではなく、自社の取引先が実際に何を求めているかを確かめることです。

この記事では、国の注意喚起の中身と、営業トークを見分けるための確認ポイントを、ハチマルヤ合同会社(808)が公表資料をもとに整理します。情報はすべて本記事の執筆時点(2026年10月19日)のものです。

SCS評価制度そのものの全体像を先に知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

→ SCS評価制度とは?2027年から始まる新制度の全体像と対象企業


経済産業省と内閣官房が注意を呼びかけた勧誘とは

2026年4月27日、経済産業省と内閣官房国家サイバー統括室は「SCS評価制度に係る不適切な勧誘に御注意ください」という注意喚起を出しました。[※1]

注意喚起では、SCS評価制度を引き合いに、次のような営業活動による製品・サービスの勧誘が報告されているとしています。

  • 「評価を取得していないと商取引が規制される」
  • 「今すぐ評価を取得しないと入札から除外される」

そのうえで、こうした営業活動は「本制度の趣旨・目的とは異なるもの」だと明言しています。[※1] 注意喚起で報告されている営業トークの例は、上の2つです。

声をかけられたときに慌てないよう、制度の実際を押さえておきましょう。


SCS評価制度の実際|任意の制度で、特定の製品も必須ではない

注意喚起では、SCS評価制度について次の3点を説明しています。[※1]

ポイント 注意喚起での説明
任意の制度 2社間の取引契約などで、発注者が受注者に★(対策の段階)を示し、両者で実施状況を確認することを想定した任意の制度
商取引を規制しない 個社間の商取引について、規制措置を講じるものではない
特定の製品は必須ではない 評価基準を達成するのに、特定のセキュリティ対策製品の導入が必須とされているものではない

つまり、SCS評価制度そのものが「取っていない会社との取引を禁じる」わけではありません。★をどう使うかは、発注者と受注者の間で決めていく仕組みです。

注意喚起の説明に沿うと、制度は次のような流れで使われることが想定されています。[※1]

  1. 発注者が、受注者に適切な★(対策の段階)を示す
  2. 発注者が、示された★の対策の実施を受注者に促す
  3. 発注者と受注者が、対策の実施状況を一緒に確認する

この流れの出発点は、取引先である発注者です。営業担当者が「取らないといけない」と言うかどうかではなく、自社の取引先が何を求めているかが判断の基準になります。

「入札とは関係ない」わけではない

一方で、「SCS評価制度は入札とはまったく関係ない」と考えるのも正確ではありません。IPAの資料では、制度の普及策として「政府調達や重要インフラ事業者等での活用推進」が挙げられています。[※5] 将来、取引や調達の場面で★を求められる可能性はあります。

大切なのは、「将来求められる可能性がある」ことと、「今すぐ取らないと除外される」ことを分けて考えることです。前者に備えることは意味がありますが、後者を理由に急いで契約を迫られた場合は注意が必要です。


「今すぐ取らないと」が成り立たない理由|日程から確認する

「今すぐ評価を取得しないと」という営業トークは、日程の面からも成り立ちません。IPAが公表している日程は次のとおりです。

時期(予定) 出来事
2026年12月下旬 評価機関・研修事業者などの指定機関の公表[※4]
2027年1月以降 SCSセキュリティ専門家の登録受付開始[※3]
2027年3月以降 ★3・★4を登録したい企業の受付開始[※3]
今の時点で「まだ存在しないもの」の図

ここから、執筆時点で次のことが言えます。

  • ★3・★4を今すぐ取得することはできない:受付が始まるのは2027年3月以降の予定です
  • IPAに指定された評価機関はまだない:評価機関の公表は2026年12月下旬の予定です
  • 制度に登録されたセキュリティ専門家はまだいない:専門家の登録受付が始まるのは2027年1月以降の予定です

★を取るまでの日程の考え方は、以下の記事で詳しく解説しています。

→ [SCS評価制度★3の取得スケジュール|今から始める月別計画](近日公開予定)

★3の登録の流れは、以下の記事で解説しています。

→ SCS評価制度の基本規程とは?★3・★4の登録・更新の流れ


営業トークを見分ける5つの確認ポイント

SCS評価制度を引き合いにした提案を受けたときは、次の5つを確認してみてください。

見分けるための5つの確認ポイントの図

① 「期限」の根拠を聞く

「◯月までに取らないと取引できなくなる」「入札から外れる」と言われたら、その根拠を聞きましょう。どの取引先の、どの入札の条件なのか。公表されている資料はあるのか。根拠を示せない期限で契約を急がせる提案には、注意が必要です。

質問の例:「その期限は、どの取引先のどんな条件に書かれているものですか。資料を見せていただけますか」

② 特定の製品が「必須」と言っていないか

評価基準の達成に、特定のセキュリティ製品の導入は必須ではありません。[※1] ツールが対策の助けになる場面はありますが、「この製品がないと★は取れない」という説明は、国の説明と食い違います。

質問の例:「この製品を使わずに同じ要求事項を満たす方法はありますか」

③ 「指定評価機関」「登録専門家」を名乗っていないか

執筆時点では、IPAが指定した評価機関も、制度に登録したセキュリティ専門家もまだ存在しません。評価機関などの指定申請は2026年10月26日まで受け付けている最中で、指定機関の公表は2026年12月下旬の予定です。[※4] 「IPA指定の評価機関です」「SCSの登録専門家です」と名乗っている場合は、名乗っている内容と公表された日程が合っているかを確かめましょう。

なお、評価機関や専門家として指定・登録された後は、IPAのウェブサイトで公開される予定です。[※2] 公開後は、そこで確認できます。

質問の例:「IPAのウェブサイトで、御社の指定や登録を確認できますか」

④ どの要求事項に対応する提案か説明できるか

★3には26件の要求事項があります。提案された製品やサービスが、どの要求事項のどの部分に役立つのかを聞いてみましょう。誠実な提案であれば、要求事項との対応を具体的に説明できるはずです。

質問の例:「この提案は、★3の要求事項のどの番号に対応していますか。対応していない部分は何で補う必要がありますか」26件の中身は、以下の記事で解説しています。

→ SCS評価制度★3の要求事項26件を全解説|優先順位と進め方

⑤ IPAの公表情報と食い違っていないか

注意喚起でも、正しい情報はIPAから入手するよう案内されています。[※1] 提案の中で制度について説明されたら、IPAのSCS評価制度のページやよくある質問と照らし合わせてみましょう。

質問の例:「今のご説明は、IPAのどの資料に書かれていますか」


声をかけられたときの動き方

SCS評価制度を理由にした提案を受けたら、次の順で動くと落ち着いて判断できます。

  1. その場で契約しない:期限を理由に即決を迫られても、いったん持ち帰る
  2. 取引先に直接確認する:本当に★を求めているのか、求めているなら「いつまでに」「どの★を」なのかを、取引先の担当者に確かめる
  3. 公式情報と照らし合わせる:提案の内容を、IPAの公表情報と比べる
  4. 社内で共有する:同じ営業が他の部署にも来ている可能性があるため、担当部署や経営層に共有する

取引先に確認するときの聞き方

取引先への確認は、身構えずに事実を聞く形で十分です。たとえば、次のように聞くと相手も答えやすくなります。

「SCS評価制度について、御社から弊社に★の取得をお求めになる予定はありますか。もしご予定があれば、時期と、★3・★4のどちらをお考えか教えていただけますか。弊社でも準備の計画を立てたいと考えています」

取引先の担当者もまだ方針を決めていない場合が多くあります。その場合は「方針が決まったら教えてください」と伝えておけば、急いで動く必要はありません。

特に、取引先への確認が大切です。取引先から実際に求められているのか、営業担当者の説明だけなのかで、必要な対応はまったく変わります。取引先が★を求めていない段階なら、急いで製品を導入する理由はありません。

逆に、取引先から実際に★を求められている場合は、日程と自社の状況を踏まえて計画を立てましょう。準備には時間がかかるため、早めに現状を把握しておくことには意味があります。


正しい情報を得るには|IPAの公式情報と公的な支援策

SCS評価制度の情報は、制度を運営するIPAが順次公表しています。[※2] 次の公式情報を確認しておくと、営業トークを確かめるときの基準になります。

  • IPA「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」のページ
  • IPA「SCS評価制度 よくある質問」
  • 経済産業省・内閣官房の注意喚起(本記事の※1)

IPAのページでは、★3・★4の要求事項と評価基準、制度の基本的なルールを定めた基本規程、登録料などの料金、今後の公表予定を確認できます。営業担当者から制度について説明を受けたら、これらの資料に同じことが書かれているかを確かめるのが確実です。

中小企業向けには、国の支援策も用意されています。SCS評価制度の★取得を支援する「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」の実証事業が、2026年10月から2027年9月までの1年間の予定で実施されています。[※6]

→ SCS評価制度とお助け隊サービス(新類型)とは?|参加条件と選び方

不適切な営業に注意が必要だからといって、SCS評価制度そのものを避ける必要はありません。★3の要求事項は、IDやパスワードの管理、バックアップ、インシデント対応の手順など、取引先から求められるかどうかにかかわらず役立つ対策で構成されています。期限に追われてではなく、自社の対策を見直すきっかけとして取り組めば、取引先への説明材料にもなります。取得のメリットは、以下の記事で整理しています。

→ SCS評価制度を取得するメリットとは?更新時の注意点も解説

ハチマルヤ合同会社(808)も、SCS評価制度への対応を支援する事業者の一つです。808では、IPAの公表情報をもとに、取引先から何を求められているかの確認から一緒に進めることを大切にしています。不安をあおって契約を急がせることはしません。


まとめ

  • 2026年4月27日、経済産業省と内閣官房は、SCS評価制度を引き合いにした不適切な勧誘に注意を呼びかけた
  • SCS評価制度は任意の制度で、個社間の商取引を規制するものではなく、特定の製品の導入も必須ではない
  • ただし、IPAの資料では政府調達などでの活用推進が挙げられており、「関係ない」とまでは言えない
  • ★3・★4の受付は2027年3月以降の予定で、指定評価機関や登録専門家もまだ存在しない。「今すぐ取らないと」は成り立たない
  • 提案を受けたら、期限の根拠・製品の必須性・名乗っている立場・要求事項との対応・IPA情報との食い違いを確認し、取引先に直接確かめる

よくある質問(FAQ)

Q1:「SCS評価制度を取らないと入札に参加できない」と言われました。本当ですか?

国の注意喚起では、「今すぐ評価を取得しないと入札から除外される」といった営業は制度の趣旨と異なるとしています。そもそも★3・★4の受付は2027年3月以降の予定で、今すぐ取得することはできません。将来、調達の場面で活用される可能性はあるため、具体的な入札の条件を確認しましょう。

Q2:セキュリティ製品を入れないと★3は取れないのですか?

国の注意喚起では、評価基準の達成に特定のセキュリティ対策製品の導入は必須ではないとしています。★3の要求事項には、ルールの策定や手順の整備など、製品以外で満たすものも多く含まれます。製品の導入を検討する場合は、どの要求事項に役立つかを確かめてから判断しましょう。

Q3:「IPA指定の評価機関」を名乗る会社から連絡がありました。信用してよいですか?

IPAは、評価機関などの指定機関を2026年12月下旬、セキュリティ専門家を2027年1月以降に公開する予定としています。[※2][※4]執筆時点では、指定された評価機関はまだ公開されていません。名乗っている内容が公表された日程と合っているかを確認し、公開後はIPAのウェブサイトで確かめましょう。


取引先から何を求められているかの整理や、提案を受けた内容の確認からご相談いただけます。

ハチマルヤ合同会社(808)では、SCS評価制度への対応を専門チームがサポートしています。 「何から始めればいいかわからない」という段階からご相談を受け付けています。 まずはお気軽に無料相談をご利用ください。 → 無料相談はこちら


参考資料・出典

※1 経済産業省 商務情報政策局サイバーセキュリティ課・内閣官房国家サイバー統括室「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)に係る不適切な勧誘に御注意ください」(令和8年4月27日) https://www.cyber.go.jp/pdf/news/press/20260427_supply-chain-security.pdf

※2 IPA「SCS評価制度 よくある質問」(2026-10-19確認) https://www.ipa.go.jp/security/scs/faq.html

※3 IPA「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度 料金設定のお知らせ」(2026年9月18日) https://www.ipa.go.jp/security/scs/rcu1hd00000075om-att/pricelist.pdf

※4 IPA「評価機関、技術検証事業者、研修事業者の指定申請」(2026-10-19確認) https://www.ipa.go.jp/security/scs/security-experts-organization/shiteishinsei.html

※5 IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)実証 説明資料」(2026年9月15日) https://www.ipa.go.jp/security/sme/rqr7mi000000286e-att/setsumei_shiryo.pdf

※6 IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)実証事業」(2026-10-19確認) https://www.ipa.go.jp/security/sme/otasuke-scs.html


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